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すべては手元に
”音楽も文学も、創作や鑑賞の環境がどんどん便利になっています。手元のボタンひとつで『一級品』と呼ばれるものが手に入る。すると人間はこれを読まなきゃおられないといった衝動的な感覚が薄れてゆくことになります。せめてそうありたくないと思うなら、例えば紙と鉛筆とがあるならそこに何か、自分の手を使って『あいうえお』でもいいから書いてみる。その『あいうえお』は確かに残ります。手を動かして詩をつくる。歌ってみる。そういう根底を失わずにおれば、なんとかなるよってことは言えるでしょう。” 吉本隆明 (3月27日朝日新聞より抜粋)
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